ハイブリッド車とEVにおけるトランスファーケースの進化
電動化が進む自動車産業において、トランスファーケースの役割と技術も新たな段階を迎えています。ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)では、エンジンとモーターの特性を活かした、より効率的で高性能な四輪駆動システムが登場しています。
ハイブリッド車では、エンジンで前輪を、モーターで後輪を駆動する「e-4WD」と呼ばれる方式が増えています。このシステムでは、従来のプロペラシャフトでつなぐ機械式のトランスファーケースが不要です。後輪のモーターは必要な時に瞬時にトルクを発生させるため、応答性に優れ、また燃費の悪化を最小限に抑えられます。
一方、電気自動車では、前後輪にそれぞれ独立したモーターを配置する「デュアルモーターAWD」が高性能モデルの主流となりつつあります。この方式では、前後のトルク配分を電気的に、かつ瞬時に0:100から100:0まで自由に制御できます。これにより、従来の機械式トランスファーケースでは実現できなかった、極めて精密なトルク配分とトラクションコントロールが可能になります。ここでは、トランスファーケースの役割は、モーターの制御ソフトウェア(インバーター)に統合されつつあると言えるでしょう。
FAQ
Q: EVのデュアルモーターAWDはオフロードでも強いですか?A: 各モーターの制御が優れており、非常に繊細なトラクションコントロールが可能なため、一定の悪路では非常に有効です。しかし、岩場などの極限的なオフロードでは、物理的なデフロック機構を持つ機械式4WDの方が信頼性が高い場面もあります。
Q: ハイブリッドのe-4WDは、雪道で効果的ですか?A: はい、非常に効果的です。後輪モーターの応答性の良さから、前輪がスリップし始めた瞬間に後輪に駆動力を補い、車体の姿勢を安定させることができます。


